徳川家康が大阪城を再び攻め、豊臣家の命の灯火をまさに消そうとしていた時代でございました。

どこの大名でもない、また名の知れた戦国武将でもない、ひとりの妖怪が家康の度肝をぬいたのでございます。

▲それは、天守の上におりました。邪気のない顔で、悠々と家康の陣を見つめておりました。
ただならぬ妖気は、そこここにおる者の士気を失わせるに十分でございました。
そして、目玉はゆっくりと静かに真田幸村のほうへと合図を送ったのでございます。
目玉だけに、目で合図を送るのはたやすいこと。

▲ぬかりなくその合図を受けた幸村は、鬼神のごとき声音で叫んだのでございます。
「今じゃ。討てー!」

▲するとどこからともなく、異形のものがひとりまた一人と幸村の周りに集い、砂を投げたり、巻きついたり魚を投げたりして戦いに参加しました。
徳川方についておりました秀吉子飼の大名どもも、大阪方有利と見るや、あっさり味方を捨て、
徳川方は総崩れとなったのでございます。
そう、天下は目玉のものとなったのでございます。
しかし、歴史はそうカンタンに変わるものではございません。
結局、300年を誇る目玉の天下も、幕末の志士により倒され、明治維新が起こり、
日露戦争が起こり、第二次世界大戦が起こって、バブルがきて、平成の世がきて、今にいたるのでございます。

その栄華の時代は、現代ではこのようなグッズとして、ひとびとに知られるのみとなったのでございます。


















